5月6日の米国市場は、リスク回避の動きが急加速する、大荒れの展開となった。

 ギリシャ財政危機に端を発した欧州の信用不安問題が材料視されて全般にリスク回避志向が強まっている流れの中で、プログラム売買と見られる株売り注文が下げを加速した模様で、現地時間午後2時40分頃(日本時間7日午前3時40分頃)から10分足らずのわずかな時間で、ニューヨークダウ工業株30種平均の前日比下落幅は400ドル台から900ドル台へと一気に拡大。一時は前日比▲998.50ドル安の9869.62ドルまで急落した(前日比下落率は9.19%)。取引時間中の下落幅としては過去最大。市場では、取引システムの技術的な不備が相場の下げを加速させたという見方が出ていたほか、CNBCは大手企業1社の誤った取引が急落の原因だった可能性があると報じた。ブルームバーグによると、NYSEユーロネクストの広報担当者が午後の株価急落時に「多数のミス取引」があったとコメントした。一方、ニューヨーク証券取引所はCNBCに対し、システムに問題はなかったと述べたという。

 株価急落と連動して、為替や商品など各種市場でポジションを閉じる動きが加速。ユーロ/円相場は一時110.49円まで、ドル/円相場は一時87.95円まで、円が逃避通貨として買われる動きの中で円高方向に動いた。原油先物WTI6月限は一時1バレル=74.58ドルまで値を下げる展開。金先物6月限は「質への逃避」から買い進まれて一時1トロイオンス=1200ドルを突破し、2009年12月4日以来の高値をつけた。

 また、米国債は「質への逃避」から一段と買い進まれる展開。米2年債利回りが一時0.65%(2009年12月1日以来の低水準)まで低下したほか、米10年債利回りは3.26%(2009年12月2日以来の低水準)まで急低下する場面があった。

 その後は市場が落ち着きを取り戻す中で、株式の買い戻しが入り、NYダウは下げ幅を縮小。終値は10520.32ドル(前日比▲347.80ドル、前日比下落率は3.20%)。下落幅は今年に入ってからでは最大で、昨年2月10日(▲381.99ドル)以来の大きさである。