19日のNY市場、ユーロはやや売りが優勢となった。ドラギECB総裁が欧州議会で議会証言を行っており、2012年は緩やかな回復を見込むとはしていたものの、景気下振れや信用ひっ迫の不透明感も強いことも指摘していたことがユーロ売りを誘っている。
終盤に米株式市場でダウ平均の下げ幅が100ドルを超えたことで、ユーロドルは1.30を下回ったものの、強い動きまでは見られない。商品先物取引委員会(CFTC)が発表していたIMMの投機筋の建て玉は12月13日時点でユーロの売り越しがユーロ導入以来で最大の水準に拡大していた。クリスマス休暇を控えて動意薄でもあり、ショートポジションの積み上がりから積極的に下値を試す動きまでには至っていないようだ。
なお、注目のユーロ圏財務相会合が開催され、先のEU首脳会議で決定した2000億ユーロのIMFへの拠出のうち、ユーロ加盟国が負担する1500億ユーロの拠出を合意。また、ユーロ非加盟国の拠出に対して、スウェーデン、デンマーク、ポーランド、チェコも参加を表明。英国は2012年始めにG20の枠組みで決定するとしている。G20やIMF加盟国へも追加拠出を求めるとの声明も発表していた。ギリシャ、ポルトガル、アイルランドは不参加。ただ、市場の反応は限定的となった。
◆ECBの3年物資金供給オペに注目
21日にECBの3年物資金供給オペが開始される。先のECB理事会で決定した新たなオペだが、コンスタンシオECB副総裁は「著しい需要」と言及しており、市場でもかなり旺盛な需要が見込まれているようだ。欧州債市場でイタリアやスペイン債が上昇(利回り低下)していたが、ECBに差し出す担保として購入しているとの指摘や、金融機関がオペで調達した資金を、高金利の国債購入に一部振り向けるのではとの期待も出ていたようだ。しかし、後者のほうは信用劣化の原因ともなっている重債務国の国債をわざわざ再購入するとも考え難い。金融機関の使途はいずれにしろ、オペがどうなるかは注目される。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)