13日のNY市場はユーロ売りが強まった。序盤はスペイン債やEFSF債の入札が好調だったことから買戻しも出ていたが、上値は重かった。その様な中、メルケル独首相が自身の党内で、欧州安定メカニズム(ESM)の規模上限を5000億ユーロから拡大することを拒否する姿勢を強調していたと伝わったことから、一気にユーロは売りを強めている。また、午後になってFOMC声明が発表されると、大方変更は無かったが、雇用の表現が若干上方修正されるなどしていたことから、量的緩和第3弾(QE3)期待を後退させ、株価下落と伴にユーロは更に下げ幅を拡大した。

ユーロドルは1.32台から1.30台前半まで大幅下落。底堅く推移していた豪ドルも株価が伸び悩んだことから失速した。一方、ドル円はドル買いの動きから堅調だったものの、78円台は重い雰囲気。

◆売りたい時に売りたい理由
メルケル首相の発言も、以前からドイツはESMの上限引き上げには強く抵抗しており、あえて驚かなければならないほどの内容でもない。更にFOMCについても、若干の上方修正があったとはいえ、慎重さは維持されており、QE3可能性を完全に後退させるまでの内容でもない。売りたい時に売りたい理由だったのではと思われる。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)