新型タブレット端末「アイパッド(iPad)」の売れ行きが好調すぎて、米アップルは頭を悩ませているようだ。同社は14日、4月末頃に予定していた米国外でのアイパッドの発売を約1カ月延期し、5月末にすると発表した。
予想を大幅に上回る需要があり、今後数週間にわたって同社の供給を超える可能性があるとしている。3G通信対応の上位モデルについても、4月末納期分の先行予約が多く入っている。
米国での予想外の需要に直面し苦渋の決断をしたと説明している。
影響を受けるのは日本のほか、オーストラリア、カナダ、英国、ドイツ、スイス、フランス、イタリア、スペイン。
アップルはこれら9カ国で5月10日に販売価格を発表する。同時にオンライン予約の受け付けも開始する。
同社は4月3日の初日に30万台のアイパッドを販売したと発表していた。販売開始から1週間後には50万台を出荷したという。
この話を受けて14日のアップル株は、前日比3.26ドル(1.34%)高の245.69ドルの終値で通常取引を終えた。前日の米インテルの好調な決算発表も手伝って、半導体関連銘柄が軒並み値を上げたと各メディアは報じている。
カテゴリーにも部品にも前例がない
米国であまりに売れすぎて世界市場に供給できる在庫がないということのようだが、なぜアップルはこのような事態に直面したのだろうか。
同日の米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の記事は「新製品の需要を予測することの難しさを物語っている」と報じているが、一方で英フィナンシャル・タイムズは、アップルのこの状況に驚いているアナリストの話を伝えている。
「先行予約の受け付け期間が相当長かったことを考えると、アップルの言う “予想外の需要” が理由ではないはずだ。アップルが在庫問題で苦しむのは非常に珍しい」(英CCSインサイトのベン・ウッド氏)
前述のWSJの記事では、アイパッドが新たなカテゴリーの製品であるがゆえに需要予測が難しいと報じているが、これに加え、アップル初の自社プロセッサーを採用していることや、先進的なディスプレー、大容量のバッテリーを採用していることなど製造面での問題があるという。