中国南西部を中心に60年ぶりとも100年ぶりとも言われる大干ばつとなっている。果たして60年前も100年前も観測していたのかは微妙だが、何にしても近年稀にみる由々しき事態になっているのは間違いない。

100年ぶりの大干ばつ、農業へダメージ甚大

干ばつで赤茶けてしまった農地

 「云貴」と呼ばれる雲南省、貴州省では、昨年秋からほとんど雨が降らない状況が続いているため影響が最も大きい。

 この2つの省に隣接する広西チワン族自治区と四川省・重慶市も影響が甚大で、さらに西安のある陝西省や北京に近い山西省、それにチベット自治区にまで干ばつは拡大している。

 中国では毎日のように干ばつについてのニュースが報じられている。貴州省や雲南省がある中国西南部は中国の中でもとりわけ貧しい省が多く、工業よりも農業で成り立っている省がほとんどだけに、人々の暮らしに与える影響は計り知れない。

 この天災に直面した人々の心を少しでも和らげようと、温家宝首相も被災地の現場に出向き、被災地の人々の状況や心情に共感する姿勢を写真に撮られることで、政府は被災地に注目し、見捨てていない意志を示すことをアピールした。

 中国人に言わせれば「政府トップが現地に赴いてこうしたアピールをすることは外国人には理解できないだろうが、5000年の歴史上そうしてきたのだ」なのだそうだ。

省都では生活水の断水はなかった

節水を訴える公共広告

 そのような現状を筆者も肌で感じるべく、貴州省と雲南省を訪ねた。

 貴州省の省都「貴陽」も雲南省の省都「昆明」も、市民プールで使用する水を制限するという程度のニュースはあれ、生活上の断水はなかった。

 「水を大切にしよう」「被災地を助けよう」という公共広告はあるものの、公共の場所における噴水も通常通りあり「水不足という危機に直面している」という感じではなかった。