米国のオバマ次期大統領は6日の演説で、1月20日の就任後に公表する経済再生計画に関し、「高速道路網を整備した1950年代以来、最大の公共投資を実施する」と発言した。この発言に加え、ビッグ3がつなぎ融資で救済される方向になったことから、週明け8日の欧米市場では株価が大幅上昇。ニューヨークダウ工業株30種平均は一時9000ドルを回復する場面があった。
欧州、米国ともに、株高をにらみつつ債券相場は下落したものの、米国では下げ渋った。また、為替市場では円を売り戻す動きが出たものの、ドル/円のドル高値が93.91円にとどまるなど、動きの鈍さが意識された。株式市場と債券・為替市場との間には、次期政権の財政出動が米国経済にもたらす効果について、微妙な温度差があるとも言えるだろう。
オバマ氏が言及したのは、アイゼンハワー大統領(在任:1953年1月~61年1月)が推進した高速道路網のことであろう。根拠法は56年6月に施行されており、10年間で250億ドルの国家プロジェクトであった。56年の名目GDP(国内総生産)は4272億ドルだったので、GDP比では約5.9%ということになる。ちなみに、56会計年度の連邦政府の歳入は746億ドル、歳出は706億ドルで、連邦財政収支は+39億ドルという、黒字の状態にあった。
1950~60年の米実質GDPについて、政府支出(政府消費支出および総投資)の寄与度を図にしてみると、次のようになる。
一見して、50年代前半の政府支出のプラス寄与の大きさに驚かされるが、これは朝鮮戦争に伴う国防支出の増大が主因である(戦後日本の景気は当時、「朝鮮特需」に沸いた)。