7日の東京市場は、ユーロがじり高となっている。ユーロ円が104.38レベルと前日の高値を上抜けたほか、ユーロドルも1.34台前半で底堅く推移している。昨日の海外市場ではS&PがEFSFの格付け見通し引き下げを発表したが、あすから開催されるEU首脳会議でのEMS拡充などへの期待からNY株式が堅調に推移し、ユーロ相場も下げ渋った。東京市場でもそのムードが続いており、日本株やアジア株が全般に堅調に推移している。日経平均は後場には8700円を回復する場面もあった。また、第3四半期の豪GDPが前期比+1.0%、前年比+2.5%と直前の予想を上回ったことから豪ドルも買われており、リスク回避ムードは後退している。豪ドル円は一時79.90レベル、豪ドル/ドルは1.0275レベルと昨日の豪中銀理事会を巡る下落の動きを消した。一方、ドル円は仲値にかけてやや輸出の売りに押されたが、77.60-80のレンジ内の動きに留まっている。
◆ネガティブな見方も根強い
東京市場はリスク回避ムード一服となっているが、クロス円の上昇も値幅は数十ポイント程度に限定されている。あすのECB理事会やEU首脳会議を控えており、積極的な売買はみられていない。市場にはユーロ買いはポジション調整に過ぎない、との声もあった。朝方、ギリシャ議会で2012年予算が成立したとの報道があったが、反応薄だった。ブラジルの第3四半期GDPは成長率ゼロと発表されている。中国商務省高官は、中国は2012年に深刻な輸出状況に直面、との認識を示した。いずれも欧州債務危機の波及によるものだ。石田日銀審議委員は、欧州債務問題、足元の最大リスク、と述べており、長期化すれば日本経済にとっても大きな影響があると警戒感を示した。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)