米シリコンバレーの名門ベンチャーキャピタル、クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ (KPCB)は、米アップルのスマートフォン用基本ソフト「アイフォーンOS」向けのアプリケーション開発を支援するファンドをこれまでの2倍の規模の2億ドルに拡大すると発表した。

 KPCBは2008年の3月、同OSを搭載する、アイフォーン(iPhone)とアイポッドタッチ(iPod touch)向けのアプリケーションを開発する新興企業を対象に、総額1億ドルのファンドを設立した。「アイファンド(iFund)」と呼ぶこのファンドはこれまで14社に投資をしており、いずれも成功を収めているという。

「iPad」ソフト開発に1億ドル追加投資、米ITベンチャーキャピタル

iFundがiPad開発者の支援を開始する〔AFPBB News

 KPCBの次の狙いは、米国で4月3日に発売されたタブレット端末「アイパッド(iPad)」だ。同社はアイフォーンがモバイルコンテンツの消費活動を大きく変えたと考えており、今度はアイパッドで第2の波が来ると信じている。

 大きな画面を備えるアイパッドは、アイフォーン以上にアプリケーションの利用範囲が広がると見ており、とりわけ、エンターテインメント、ソーシャルネットワーキング、電子商取引、医療や教育分野のアプリケーションに注目している。

 KPCBが同ファンドを通じて支援した企業のアプリケーションは、アップルのアプリ販売サービス「アップストア(App Store)」で18本がトップ10入りしている。14社のダウンロード件数合計は1億件。2010年における売り上げは1億ドル以上になる見込み。

 その14社は、アイパッド向けのアプリケーションを合計20本開発しており、そのうちの11本がアイパッドの発売と同時にリリースされた。

アップストア開設前から可能性を確信

 現在アップストアでダウンロードできるアプリケーションの数は14万本。アップルによると、アップストア全体のダウンロード累計件数は30億件。アップストアは今や巨大市場に発展しており、KPCBと同様のファンドも数多くある。しかしKPCBが同ファンドを決めたのはアップストアのサービスが始まる4カ月前のことだった。

 「当時はまだ家内工業的だった。しかしKPCBは早くから新しいテクノロジープラットフォームが生まれたことを確信していた」。英フィナンシャル・タイムズはそう報じている。