米国でアメリカン・プロフットボールの地元フランチャイズ局によるラジオ中継放送の聴取結果がまとまった。それによると、2009-10年のナショナルフットボールリーグ(National Football League=NFL)のシーズンを通じて、もっともリスナー(聴取者)が多かったのはシカゴ・ベアーズのフランチャイズだった。
この調査は、ラジオ聴取率調査・分析大手の米アービトロン(Arbitron)社が、2009年新たにスポーツ局を立ち上げたことを契機に実施した。
シカゴ・ベアーズのフランチャイズラジオ局は、米3大ネット放送局の1つであるCBSが直接所有・経営(Owned&Operated)するWBBM-AM局。2000年からベアーズ戦のラジオ実況中継権を獲得して試合をカバーしている。2009年の1試合平均のリスナーは62万6000人。NFLチームを抱えるラジオ局としては、最大のリスナーを獲得したことになる。
シカゴは聴取対象となる12歳以上の人口が786万2200人で、ニューヨーク(同1566万9500人)、ロサンゼルス(同1099万9100人)に次ぐ、全米第3位のラジオ市場だ。
シカゴ・ベアーズに続くのは、ニューヨーク・ジャイアンツ(WFAN-AM、CBS傘下、平均45万7000リスナー)、フィラデルフィア・イーグルズ(WIP-AM、CBS傘下、42万2000リスナー)、さらにニューヨーク・ジェッツ(WEPN-AM、ウォルトディズニー所有、35万900リスナー)、デトロイト・ライオンズ(WXYT-FM、CBS所有、33万1900聴取者)などとなっている。(SportsBusiness Journal, March12, 2010)
ラジオ視聴実態を自動的に記録
このデータは、ラジオ聴取率を専門に扱っているアービトロン社が包括的なスポーツ関連聴取率調査の取り組みとしてNFLシーズンを通じて各フランチャイズの聴取データを蓄積したもので、このデータを取得する手段としてポータブル・ピープル・メーター(Portable People Meter=PPM)を採用したことが特徴だ。
PPMは手のひらサイズの携帯情報端末と同じぐらいの大きさ。調査対象者がこの装置を身に着けているだけで、ラジオを聴取した際、ラジオ放送番組の中に埋め込まれているコード化された音声信号を受信して、どの番組を、どの時間に聴いたか自動的にデータを記録できる仕組みだ。
従来の聴取率調査は、過去何十年にもわたって「日記式」が採用されてきた。リスナー自身の記憶と記録に頼らなければならないため、正確性が担保されず、データとしての信頼性が常に問題視されてきた。そもそも、煩雑で面倒な調査への協力者を確保すること自体が容易ではない。