「メディア王」ルパート・マードック氏率いる米ニューズ・コーポレーション傘下の新聞が、オンライン版の有料化計画を明らかにした。英国子会社のニューズ・インターナショナルは3月26日、同社の日刊紙「タイムズ」と日曜紙「サンデー・タイムズ」のオンライン版を有料化すると発表した。
両紙の共同サイト「タイムズ・ オンライン」を刷新し、5月初旬にもタイムズのサイト「thetimes.co.uk」とサンデー・タイムズのサイト「thesundaytimes.co.uk」を立ち上げる。正式サービスの開始は6月だが、それまでは登録ユーザーに無料のお試し版を提供する。
料金は1日1ポンド(約138円)と新聞1部と同じにし、1週間閲覧できる2ポンド(約276円)のサービスも用意する。有料会員の読者はどちらのサイトも閲覧できる。また新聞を定期購読している読者には無料で閲覧できるようにする。
マードック氏、「すべてのオンライン版を有料化する」
ニューズ傘下の新聞では、米経済紙のウォールストリート・ジャーナルが記事本文の一部を表示し、全文を読むには有料会員への登録が必要な「有料の壁(ペイウォール)」を導入している。
また英ピアソンPLCの経済紙フィナンシャル・タイムズなどは、1カ月に読める記事を数本に限定し、それ以上を読む場合は同様にして有料登録が必要な「メーター制」と言われる仕組みを導入している。米ニューヨーク・タイムズも、2011年から始める有料版でこのメーター制を採用する予定だ。
今回のタイムズとサンデー・タイムズは、ニューズ傘下で初めて有料化を導入する一般紙となる。トップページ以外はほぼすべてのコンテンツが有料の対象となる、完全会員制というアプローチを取る。
ニューズのルパート・マードック会長は、有料化の提唱者としても知られる人物で、昨年8月には同社傘下のすべての新聞のオンライン版を有料化すると発表した。昨年12月には、ウォールストリート・ジャーナル日本版の正式サービスを有料会員制で始めている。
ニューズの英国子会社の新聞にはこのほか日刊タブロイド紙の「サン」や日曜タブロイド紙「ニュース・オブ・ザ・ワールド」があるが、メディア報道によるとこの2紙のオンライン版もいずれ有料化する計画という。
タイムズは赤字続き
読者の新聞離れが進み、発行部数の減少に歯止めがかからないといった状況で、新聞各社はネットへの移行を試みているが、景気低迷でオンライン広告の収入も激減している。