30日のロンドン市場は、2つのポジティブ・サプライズでドル売りが強まった。序盤はユーロ売りが先行、ユーロドルは1.3260レベル、ユーロ円は103.35レベルまで下落する動きだった。中国株が大幅安となったことでリスク回避ムードが広がり、欧州株も軟調に始まった。まず、ポジティブサプライスとなったのが中国の預金準備率引き下げの発表だった。ユーロドルは1.33台を回復、ユーロ円は104円近辺へと上昇した。さらに、NY序盤にかけてFRBなど主要中銀がドルスワップ協定の金利引き下げを発表すると、各国株式が急伸、為替市場ではユーロ主導でドル売りが殺到した。ユーロドルは一時1.35台乗せと、ロンドン序盤の安値水準から250ポイント近い大幅高となった。いずれの措置も欧州に端を発した危機の広がりをなんとか防ごうとするもので、市場にとっては格好のドル売り、円売り材料と捉えられたようだ。11月米ADP雇用者数が20.6万人増と10月から倍増したことや、カナダGDPが予想を上回ったことも支援材料となったようだ。ドルカナダは1.0150近辺へと下落、ロンドン序盤の高値からは約200ポイントの大幅安となった。リスク選好の動きを受けて豪ドル/ドルは一時1.03台乗せとパリティ割れ水準から実に300ポイント超の大幅高となった。
◆11月は日銀が覆面介入した可能性
日本時間19時に財務省から発表された11月の為替介入実績は9兆円を上回る規模だった。安住財務相が介入を明言した10月31日の為替介入額は市場推計で約8兆円規模とみられていたことから、1兆円分は介入したことを明示しない、いわゆる覆面介入だった可能性が高まった。発表を受けての質問に対して、安住財務相は、覆面介入の可能性、申し上げられない、とコメントを差し控えている。ドル円相場は78円近辺から78.15レベルまで買われる反応を示した。しかし、その後のドル売り殺到の勢いに77.30近辺まで急落する動きとなっている。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)