オリンパスの過去の損失隠しが明らかとなり、同社の株価は急落した。同時に信用は地に墜ち、同社株の上場維持の可否、あるいは取引銀行との関係がぎくしゃくしているのは周知の通りだ。
オリンパスが行っていた行為は明確なルール違反であるが、果たしてこれは同社だけの問題にとどまるのだろうか。筆者は否、とみる。
バブル期に財テクに失敗した企業は同社だけではない。株式市場ではオリンパス以外の「問題企業」を炙り出そうとする動きが秘かに始まっている。
バブル崩壊で多くの大企業が資産運用による巨額損失に直面
「アレはとんでもなく普及していた。ココを突っ込み始めたらきりがない。マトモと思われている企業も山ほど出てくる」・・・。
11月8日、午後。
筆者は旧知のアナリストからこんなメールを受け取った。オリンパスの高山修一社長が会見し、同社が1990年代に行っていた有価証券投資に係る損失の計上を先送りしていたことを明らかにした、まさにその日である。
そのアナリストが指摘する「アレ」とは、「損失先送り」のことであり、「ココ」とは、オリンパスのような不正行為を行っていた企業群を指す。
オリンパスの陥った迷宮は、2001年3月期決算から導入された「時価会計」がきっかけだ。
時価会計は、企業が保有する金融資産について、期末ごとの時価で再評価する会計手法だ。保有する金融資産の価値を洗い直し、時価と簿価の差を貸借対照表と損益計算書に載せる。主要メディアの報道によれば、オリンパスの場合、2001年3月期までに含み損が1300億円規模に膨れ上がっていたという。