懸案となっていた南スーダンPKOは、結局、年明けを目途に陸上自衛隊施設部隊が派遣される見込みとなった。
ただし、武器使用の問題などが相変わらず手付かずのままであることなどから、派遣を問題視する声も多い。これについては、機会を改め述べたいと思うが、盲点なのは、この派遣による国内での影響だ。
施設部隊はハイチPKOにも派遣されており、その上さらに南スーダンにも人員が割かれれば、国内での任務に影響を及ぼすことが考えられるのだ。
広大な演習場で気の遠くなるような草刈り
その大きなものとして、陸自の訓練に不可欠な演習場整備がある。例えば、富士の演習場ならば、東京の3~4つの区を合わせたほどの広大な敷地であるが、ここを常に訓練に支障をきたさないよう整備する必要がある。
定期整備は春と秋の年2回。その他、年度の整備計画に基づいて実施するものや、訓練終了後に行うものもある。
整備している間は訓練をストップするため、「整備期間を延ばしてほしい」というわけにはいかない。ただでさえ訓練場は過密状態で、土日もいっぱいになっているほどなのだ。10日ほどの間に、なんとしても全てを完了しなくてはならない。
「施設殺すに刃物はいらぬ、雨の3日も降ればいい」と言われるように、最大の敵は雨だ。悪天候が続くと、直したそばから崩れていくことになり、そんな時は朝5時から夜10時頃まで作業を続けるなどザラだという。
整備作業に入るには、まず草刈りも必要だ。よく「陸自の隊員は四六時中、草刈りばかりしている」と嘲笑する向きもあるが、考えてみると、新宿区と渋谷区と港区を足したほどの広さの土地で、人の背丈ほども伸びた草を刈り取って回るのは生半可な大変さではない。