「電波の割り当てが始まる前から、どこの社が電波をもらうか決まっているという揣摩憶測(しまおくそく)が流れている。これは非常に不健全だ」

 11月21日に行われた「提言型政策仕分け」の2日目に登場した民主党の仙谷由人政務調査会長代行は、総務省の説明に言葉を荒げた。

 この日のテーマは「電波政策」。電波を市場原理で配分する周波数オークションについて、有識者の仕分け人は8人中7人が賛成したが、総務省は「時間がない」などという理由で抵抗した。これを聞いていた仙谷氏が、珍しく語気を強めて総務省を批判したのだ。

 「時間がないなどというのは、理由にならない。オークションについては民主党も10年前から言っており、総務相も副大臣も議員立法の提案者だ。国会にそのむね説明すれば、夏まで待たなくてもいい」

 周波数オークションについては、2010年の閣議決定で「オークションの考え方」を導入することが決まり、11月に総務省は「第4世代携帯電話ではオークションを行う」と発表した。ところが、なぜか来年から行う「3.9世代」の周波数割り当てだけは今まで通りの比較審査で行うというのだ。

 その理由が「時間がない」というのも奇妙な話だ。民主党は2009年の総選挙でも周波数オークションの実施を政策に掲げ、総務省の電波部に対してたびたび実施するよう圧力をかけてきた。ところが電波部は抵抗を続け、今年の電波法改正にもオークションを入れなかった。彼らが2年も時間を空費したために、法案化の時間がなくなったのだ。

 世界の主要国の中で周波数オークションを実施していないのは日本だけだ。官僚の裁量で電波を割り当てるのは、アジアでも中国と北朝鮮ぐらいしか残っていない電波社会主義である。

 それほどまでして彼らがオークションを嫌うのはなぜだろうか。

ポケットマネーと天下りを守る総務省

 これには日本の国家予算に特有の事情がからんでいる。1990年代にもオークションを実施すべきだという議論があったが、郵政省(当時)は実施を拒否し、その代わりに電波利用料という制度を設けた。