3月5日に発表された米2月の雇用統計は、東海岸などを襲った豪雪による悪影響がどこまで出てくるかが関心事になっていたが、市場が予想したほど明確な下押し要因にはならなかった。失業率は9.7%で、前月と同水準(下4ケタまで取って計算すると9.6866%から9.6872%へとわずかに上昇したが、誤差の範囲内だろう)。非農業部門雇用者数は▲3万6000人。3カ月連続の減少だが、複数の米大手金融機関が予想していた▲10万人台には乗らず、筆者が予想していた▲3万人に近い数字になった。

 米労働省は発表資料で、一部地域の厳しい天候が事業所調査の雇用者数や労働時間に影響した可能性があるとしながらも、雪嵐のネットの影響度合いを正確に数量化するのは不可能だと指摘した。今回の調査期間(2月12日を含む賃金支払期間)にまったく働かず、その間の賃金を一切受け取らなかった場合には雇用者数の減少としてカウントされることになるが、事業所調査が対象にしている雇用者の約半数は2週間・半月・1カ月が給与支払期間になっており、そうした給与支払期間のうちたった1時間でも働いて賃金を受け取った場合には雇用者数としてカウントされる扱いになる。また、除雪や復旧の関連で雇用者数が増えたことも考えられるという。一方、失業率などが集計対象に含まれている家計調査(今回の調査対象期間は2月7~13日)では、天候に関連した出来事を理由に働けない人はその期間中の賃金受け取りの有無にかかわらずそのまま雇用者としてカウントされる、と米労働省は説明した(ちなみに家計調査の雇用者数は今回、+30万8000人である)。

 オバマ米大統領は今回の雇用統計について、「東部での大雪が雇用統計の数字に深刻な影響を及ぼすとみられていたことを踏まえれば、実際、予想よりも良い内容だったと言える」としつつも、「予想より良かったといえども、容認すべき水準を超えている」と述べた。バランスの取れたコメントだと言えよう。