調査会社の米ガートナーが2010年の世界パソコン市場予測を発表した。それによると、出荷台数は昨年より19.7%増えて3億6610万台、販売額は12.2%増えて2450億米ドルになる見通しだ。前回の予測では、それぞれ13.3%増と1.9%増だったので、大幅に上方修正したことになる。
2010年は世界のすべての地域で増加に転じ、通常の季節的変動に戻るという。また今後数年間、家庭用パソコンの需要が加速し企業向けパソコンの買い換え需要も増えることから、出荷台数は大きく伸び続け市場は健全性を保つという。
その要因となるのはノートパソコンだ。今後3年間、ノートパソコンはパソコン市場全体の成長要因の90%を担うと同社は見ている。現在のノートパソコンの出荷台数は、全パソコン出荷台数の55%を占めている。これが2012年には70%近くにまでなる。
一方でデスクトップパソコンの成長は限定的になる。デスクトップが伸びるのは新興市場だけになりそうだという。
ガートナーのアナリストはノートパソコンについて次のように述べており、大変興味深い。
「2010年は、ミニノートブックが引き続きノートパソコンの成長を後押しするが、その寄与度はやがて大きく低下する。超薄型ノートパソコンや次世代のタブレット端末が台頭し、ミニノートブックと競合するためだ」
ここで言う「ミニノートブック」とは、いわゆるネットブックのことだ。パソコン市場を牽引してきたこのネットブックに代わる製品が登場してきそうだと、ガートナーは予測しているのだ。
パラダイムシフトをもたらしたネットブック
ネットブックは、「超低価格パソコン(ULCPC:ultra low-cost personal computer)」とも呼ばれる、スペックを絞ったノートパソコンだ。小型情報端末を想定して開発されたプロセッサーを搭載しており、データの保存容量も非常に少ない。米グーグルのオフィスソフトやメール、カレンダーなどのアプリケーションをウェブ経由で利用することを想定しているからだ。
当初はそれほど脚光を浴びなかったネットブックだが、景気低迷も手伝ってか、2008年の半ば頃から爆発的に売れるようになった。より高性能に、多機能にと進化してきた従来のパソコンとは逆行する形で登場し、パソコン市場にパラダイムシフトを起こしたと言われた。
もう1つガートナーの説明に出てくる「超薄型ノートパソコン」とは、ちょうどこのネットブックとフルスペックのノートパソコンの中間のような位置づけで登場したパソコンだ。「CULVノート」などとも呼ばれている。