市場の関心はソブリンリスクに
上海ショックから3年目の春、問題が「民間金融機関の危機」から「国家財政の危機」へと変貌しつつあるのは、これまでの流れからして当然のことだろう。市場はソブリンリスクを警戒する声で満ち満ちている。
2010年3月も「波乱」が繰り返されるとすれば、財政危機に直面するPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインの頭文字をとったもの)諸国の行方がどうなるか──にかかっている。
財政危機が懸念されているギリシャは小国であることが幸いして、ベアー・スターンズ型の結末となるか?〔AFPBB News〕
余談ではあるが、最近、ヘッジファンドの間で「Gはベアー・スターンズ、SはAIG、Pはリーマン・ブラザーズ」と、PIIGS諸国のそれぞれの先行き予想が流行している。
G=ギリシャは規模が小さく、いきなりデフォルトさせてはドイツなどEU(欧州連合)の大国への国際的批判も高まるから救済するしかない。ちなみに、JPモルガン・チェースによるベアー・スターンズの救済合併が公表されたのは2008年3月17日。一方、「G」は3月16日までにEUに対して財政再建の工程表の提出を求められており、このへんの因縁めいた符合も市場関係者の想像力をたくましくするのかもしれない。
S=スペインは規模があまりに大きく、破綻の余波がどこまで拡大するか分からないので、保険世界最大手のAIGと同様に潰すことはできない。しかし、モラルハザードが域内のほかの国に広がるのを防ぐという観点から、P=ポルトガルまで救済するのはトータルの負担が大きすぎるので見捨てる・・・というものだ。
大きすぎて潰せなかった。スペインも同じ?〔AFPBB News〕
3月16日を含む週の週末は19日で、日本では3連休の前日にあたる。4月に東証1部に上場を予定する「10年に1度」の大型新規上場銘柄の売り出し価格が決定される日でもある。さらには、米市場では、指数先物・オプション、現物先物・オプションの4種のデリバティブの清算が重なる Quadruple Witching Day だ。株式の需給面への不安がかきたてられる可能性もある。
DPJは引き続き市場のマイナス要因
過去3年間、3月は波乱の月であると同時に、絶好の買い場でもあった。
3年もかけて過剰流動性バブル破裂の事後処理が進められてきただけに、色々と好条件がそろう3月第3週の波乱は、仮にあったとしても、これまでとは比較にならないほど軽微なものとなりそうだが、買い場であることは間違いないだろう。
なお2009年11月頃には、日本株低迷の要因として「3D」が取りざたされた。3Dとは、Dubai / Dilution / Democratic Party of Japan だ。2009年12月7日付の「本当の懸念材料はDubaiではなくDPJ」では、前者2つの影響は小さく、株安の主因はもっぱら Democratic Party of Japan であると指摘した。


