米アップルがテレビ番組コンテンツの販売価格を値下げしようと米国の大手テレビ各局と交渉中だと米ニューヨーク・タイムズや英フィナンシャル・タイムズが伝えている。
音楽や映像コンテンツを販売している同社の「iTunes Store(アイチューンズ・ストア)」では現在、1話1.99ドルで標準画質の番組コンテンツを販売している。アップルはこれを99セントと1ドル以下で販売したいようだ。
音楽コンテンツの成功事例を踏襲
その狙いは、3月末に販売開始するタブレット端末「iPad(アイパッド)」。9.7インチのディスプレイを備えるiPadは、携帯型音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」や携帯電話「iPhone(アイフォーン)」よりも映像の視聴に優れている。コンテンツを拡充し、iPadの起爆剤にしたい考えだ。
しかしその実現性についてはテレビ局側からいささか懐疑的に受け止められているとニューヨーク・タイムズは報じている。番組の制作コストは高く、系列局やケーブルテレビに配信するビジネスの方がはるかに利益率が高いからだ。
ただ、クレジットカード登録をしている1億2500万人ものiTunes会員はテレビ局にとって魅力的だ。局側は、99セントという価格の効果について疑問視するも一定の興味は示している。記事はそんな関係者の話を伝えている。関係者とは、あるテレビネットワークの幹部。ただしアップルと交渉していることを会社が公表していないため、名を伏せているという。
米国ではテレビ番組をストリーミング映像として配信しているサービスが多くあるが、アップルのように個々の番組を1話ずつ販売する例はあまりなく、普及もしていない。アップルは2005年にテレビコンテンツの販売を始めたが、現在のところ5万話をそろえている程度で、当初の狙い通りのヒットにはつながっていない。