バンクーバー冬季五輪が開幕し、日本選手の活躍が新聞やテレビを通じて連日、茶の間に届いてくる。1人でも多く表彰台に上ってほしいと手に汗握るが、米誌スポーツ・イラストレーテッドの事前予想によると、日本が獲得するメダルはわずか3つ。それも金は1つもなく、銀ばかりの3つにとどまるという。
もっとも、1998年の長野五輪では金5つを含む10個のメダルを獲得した日本だが、その後のメダル数は2002年のソルトレークシティーで2個(銀1、銅1)、2006年のトリノで1個(金1)と低迷が続いており、今回3個という予想も決して少なすぎる数字ではない。
不況に背中を押され、企業が長年続けてきたスポーツ活動に見切りをつけるケースがここ数年相次いでいる。そうした各選手にとっての活動環境の悪化が、多くの競技でそれまでも近くはなかった表彰台までの距離がより遠くなる要因になっているらしい。日本経済の低迷ぶりが、ここにも暗い影を落としている。
何とかして今の窮状を打開したい――。選手を含む競技関係者の多くがそう考えているはずである。様々な面で底上げを図り、数多くの選手をメダルが狙えるレベルに育て上げる。そうした目標に少しでも近づけるための奮闘が、スキーやスピードスケートなどの競技団体主導でこれからさらに続いていくのだろう。
やはり、選手にとって「メダル」とは遠くにあって眺めるものではなく、自らの首に下げて実感するものだ。そのための努力は続けていかねばならない。
「和製食品メジャー」挫折、主張対立「今さらなぜ?」
ところで、キリンホールディングスとサントリーホールディングスの経営統合交渉が決裂した。実現すれば、並み居る世界の食品メーカーの中でそれこそ「メダル」を狙える位置に浮上するはずだった。欧米列強と互角に渡り合う「和製食品メジャー」の誕生は、多くの日本企業が世界の檜舞台でさらなる成長を目指す「起爆剤」になると期待されていただけに、この結末は実に残念である。(参考◎勝ち組同士が決めた「覚悟」)