1日のロンドン市場は、欧州株が大幅安となり、ドル高・円高のリスク回避の動きが広がった。昨日報じられたギリシャ首相のギリシャ支援の是非を問う「国民投票」が市場に衝撃を与えた。取引序盤から欧州株売りが殺到し、欧州債務国の国債が売られた。独DAX指数は下げ止まることなく5%超の下落、一部の仏銀行株は10%超の大幅安となっている。また、財政再建に不透明感があるイタリア債をはじめ、ベルギー債も売られている。このような状況下で為替市場ではリスク回避のドル買い・円買いが進んでいる。ユーロドルは1.38近辺から1.3650レベルまで、ユーロ円は108円近辺から107円割れまで下落した。リスクに敏感な豪ドルも大きく水準を下げている。豪ドル円は80円台半ば、豪ドル/ドルは1.03割れまで下落した。一方、昨日の主役ドル円は78円台前半での揉み合い、一人蚊帳の外の感があった。フィッチは、ギリシャの国民投票、ユーロ圏の金融安定への脅威、と発表している。国民投票の結果次第では、ギリシャのデフォルトやユーロ離脱の懸念が高まる。市場の関心は新たなギリシャ情勢に向かっている。
◆ポンド売り先行、英GDP予想上回るもPMIの悪化で
一連の英経済指標の発表を受けてポンド売りが強まっている。ポンドドルは一時1.59割れ、ポンド円は124.50割れへと下値を広げた。0.85台半ばまで下落していたユーロポンドは0.86台を回復する場面もあった。10月CIPS製造業PMIは47.4と市場予想50.0を下回り2009年6月以来の低水準となった。前回9月のデータも51.1から50.8へと下方修正された。新規受注が約2年半ぶりの低水準となったことが響いた。発表直後からポンド売りが強まった。続いて発表された第3四半期GDPは前年比、前期比ともに0.5%増と市場予想を上回る伸びだった。サービスおよび金融部門がけん引役となっている。英財務相もこの結果を歓迎していた。しかし、ポンドは下げ止まっていない。市場には景況感の一段の悪化は、英中銀の追加緩和策を正当化するものとの見方があった。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)