米グーグルが先週始めたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が波紋を広げている。同社は2月9日、無料のウェブメールサービス「Gmail(ジーメール)」の新機能として、ミニブログ「Twitter(ツイッター)」に似たサービスを統合した。
ユーザーがメールサービスを使いながら、短いコメントを知人とやりとりできるようにしたのだ。
ところがサービス開始直後から、自分の本名や居場所が意図せず公開されてしまうという苦情が相次いだ。同社は週末にかけて24時間体制で対応、機能の一部停止措置を取るなど、事態の収拾に追われた。
全世界1500万人のGmailユーザーに影響が及ぶ事態で、ことの重大さはIT専門サイトのみならず、米ニューヨーク・タイムズなどの一般紙も報じた。
なぜSNSに進出するのか?
この新サービスは、Twitterのほか、米国で人気のあるSNS大手「Facebook(フェイスブック)」と直接競合する。前者のユーザー数は4億人、後者は5500万人とも言われ、グーグルには勝ち目はない状況なのだが、同社はあえてこの分野に進出する。なぜだろうか。
実は、グーグルという会社は本業である検索サービスだけにとどまらず、実に多岐にわたる分野で事業展開している。例えば、携帯電話用OSを開発したり、そのOSを搭載する携帯電話の販売事業に乗り出したりといった具合だ。
パソコン用のウェブブラウザーや、パソコンやスマートフォン用のOSを開発したかと思えば、そのOSを搭載するタブレット端末のコンセプト写真を公開し、皆を驚かせた。
ウェブブラウザーで使えるオフィスソフト「Googleドキュメント」では米マイクロソフトに圧力をかけ、ここ最近は、米国で家庭向け光通信サービスの試験運用を始めると発表した。またグーグル日本法人では、かな漢字変換ソフト(IME)を無料で公開し、こちらも皆をあっと言わせた。
グーグルでは、勤務時間の20%を自分の好きな研究開発に費やせる「20%ルール」と呼ぶ社内ルールがあり、このかな漢字変換ソフトもその活動の中で開発されたという。