米ヒューレット・パッカードや米インテル、米アップル、米グーグルなど、世界に名立たるハイテク企業が本社を置くシリコンバレーが今危機的状況にある。そんな調査報告書を地域の産学官連携組織が発表し、海外メディアをにぎわしている。
報告書によると、中国やインドの経済成長、カリフォルニア州の財政難といった状況がシリコンバレーの競争力を失わせ、同地域の景気回復を不透明なものにしている。
「こうしたマイナス要因は、シリコンバレーの全盛時代が終わったことを意味するわけではないが、この地域が潜在的に危険な状態にあることを示唆している」と結論づけている。
ベンチャーキャピタルの投資対象に変化
報告書は、同地域の企業、大学、地方自治体などで組織する非営利団体 Joint Venture: シリコンバレー・ネットワーク(Silicon Valley Network)と、同地域の慈善基金団体シリコンバレー・コミュニティー・ファンデーション(Silicon Valley Community Foundation)が共同でまとめたものだ。
詳細について見ると、ベンチャーキャピタルの投資対象は、ソフトウエアや半導体分野から、バイオ技術やエネルギー、医療機器、メディア/エンターテインメントへと移行しつつあり、投資水準の低下も続いている。
ベンチャーキャピタルはこの10年間、大きな利益を見込めなくなっているという。パソコン市場の低迷や、グリーンエネルギーへの関心の高まりで、投資対象が変化しつつあるようだ。シリコンバレーではかつてのように新興企業が誕生しにくくなっているという状況が垣間見える。
外国人の人材については、同時多発テロ以降の米政府の政策や、中国やインドの急成長が、シリコンバレーへの人材流入を阻害している。
またインテルが本社を置くサンタクララや、ユーチューブが創設されたサンマテオの雇用は1年間で6.1%減少し、米国全体の雇用の減少率3.8%より悪化した。
2008年4~6月期から2009年にかけてシリコンバレー全体では9万人分の雇用機会を失い、2005年の水準にまで低下したという。