26日の東京市場は、EU首脳会談を控えて取引しにくいムードが広がった。ドル円は一時75.97レベルで取引され、東京市場として初の75円台を記録している。朝方、安住財務相から円高けん制発言もあったが、76円近辺での膠着相場が続いた。昨日のNY株大幅安の流れをうけて日経平均は寄り付き直後の100円超の下落、アジア株も下げて香港ハンセン指数は1%超の下げでのスタートとなったが、次第に買い優勢へと転じている。日経平均は午後の取引で下げを消すなど、明日の日銀金融政策決定会合での追加緩和策への期待感もあるが、円相場には反映されていない。午後の国会答弁で安住財務相は、経済利害の相違があり米欧との協調介入は困難、と発言したが円買いの動きも限定的だった。G20文言に関連した介入可否についての答弁に対しても円相場は反応していない。ドル円は76円挟み、ユーロ円は105円台後半、ポンド円は121円台後半での揉み合い。全般に様子見ムードが広がっている。
そのなかで大きな動きを見せたのが豪ドルだった。日本時間9時半に発表された第3四半期の豪消費者物価指数で基調インフレを示す刈り込み平均(トリム平均)が前期比+0.3%と市場予想+0.6%を下回ると、豪ドル売りが殺到した。豪ドル円は79円台前半から78円台後半へ、豪ドル/ドルは1.04台前半から1.03台半ばまで下落している。来週の豪中銀政策金利発表を控えて、市場では利下げへの思惑が一気に高まった形だった。スワン豪財務相は、インフレの落ち着きを歓迎している。しかし、多くの家計は厳しい状況との発言にみられるように、国内需要への不透明感も根強いようだ。午後に入ってからは値動きは落ち着き、豪ドルは安値水準での揉み合いとなっている。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)