オバマ米大統領は1日、2011会計年度(2010年10月~2011年9月)予算教書を議会に送付した。今回の教書に盛り込まれた政権の最新の財政収支見通しによると、2010会計年度の財政赤字幅は▲1兆5560億ドルという巨額になる。2009会計年度に記録した▲1兆4130億ドル(名目GDP比9.9%)を上回る、過去最大の財政赤字。次の2011会計年度については▲1兆2670億ドルが見込まれており、米国の財政赤字は3年連続で1兆ドルを超えることになる。また、2010会計年度の財政赤字の名目GDP比は10.6%になると見込まれた。2ケタに乗せるのは、1945会計年度(21.5%)以来のことである。経済が歴史的な落ち込みを示したことによる財政面の「惨禍」がなお広がりを見せていることが、如実に示されている。

 今回の予算教書でさらに先の財政収支見通しを見ると、2012会計年度が▲828億ドル、2013会計年度が▲727億ドルになっている。オバマ大統領の任期は2013年1月19日まで、すなわち2013会計年度(2012年10月~2013年9月)の途中で切れる。金額ベースでみた場合、4年の任期中の財政赤字半減という大統領の公約は、2010会計年度との比較では達成されるが、ブッシュ前政権から年度途中で引き継いだ2009会計年度との比較では達成されないことになる。しかも、今回の予算教書によると、財政赤字の減少は2014会計年度までで、その後は徐々に増加。2020会計年度には再度▲1兆ドルの大台に乗せる姿になっている。

 これより前、議会予算局(CBO)が1月26日に発表した財政赤字見通しでは、2010会計年度は▲1兆3490億ドル、2011会計年度は▲980億ドルとなっており、予算教書で示されたよりも赤字幅が小さかった。これは、CBOは制度変更や追加政策がないことを前提に試算したためである。今回の予算教書は、雇用増加を目指した1000億ドル規模の追加経済対策(330億ドルの中小企業向け減税、インフラ整備、クリーンエネルギー分野への投資など)や、アフガニスタンへの米軍増派を含む対テロ戦争支出上積みを盛り込んでおり、これらが赤字増加につながった。