20日のNY市場は週末のEU首脳会談を巡って情報が錯綜し相場も上下動した。序盤は23日のEU首脳会談が延期になるのではといった憶測や、開催はするものの合意はないとの見方も出て、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の新たな方法に関して独仏が対立しており、解決が遅れるのではとの警戒感が強まった。ユーロは売りが優勢となり、1.38台から一時1.3660近辺まで売り込まれている。

ただ、後半になって独仏が声明を発表し、22日に再度、独仏首脳会談を開催し、EU首脳会談に向けて協議すると伝わったこともあり、急速に反転。また、23日の首脳会談での合意は無いものの、来週26日に追加の首脳会談を開催し、包括的な協議を行うと発表されたことも買戻しを誘った。

◆来週の追加EU首脳会談が目先は大きな節目か
首脳会談での最大の焦点はEFSFの規模拡充。欧州各国とECB間で意見が対立しているようだが、解決策として、一時的措置のEFSF(4400億ユーロ)と恒久的措置の欧州安定化メカニズム(ESM)(5000億ユーロ)を統合させ、9400億ユーロ規模に拡大させるとの案も出ているようだ。そのうち1600億ユーロはギリシャなど行く先が決まっている。EFSFは2013年半ばにESMに移管される予定だが、これを2012年半ばに前倒しする方向で意見がまとまりつつあるという。

ただ、イタリア、スペインまでカバーできる規模として、市場が求めているのは2兆ユーロ規模。レバレッジをかけて、その規模に持って行く可能性が十分にあるが、その場合、ECBを絡めるのかどうかなど、まだまだ、不透明な部分も多い。

いずれにしろ、来週26日の追加EU首脳会談が目先は大きな節目になりそうだ。

ギリシャ債の民間関与については50%減免する案が出ているようだ。これはほぼ想定内ではあるが。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)