18日のNY市場は、ロンドン市場からはムードが好転した。取引終盤に報じられたEFSF規模拡大報道を受けて米株が急伸し、ドル安・円安の動きが強まった。
序盤はロンドン市場からの流れを受けてリスク回避ムードが支配的だった。中国のGDPが伸び悩んだことや独ZEW景況感指数が落ち込むなどで欧州株が下げている。NY株式市場も軟調にスタートし、ダウ平均が一時100ドル超の下落となった。ユーロドルは1.36台半ば、ユーロ円は104円台後半へと軟化した。フランスの格下げ見通しなどで仏独10年債利回り格差は19年ぶりの高水準となっていた。しかし、米株には買いも根強く、各指数とも上昇に転じた。バーナンキFRB議長講演では金融政策に関する具体的な言及が無かったものの、少なくとも2013年半ばまで、との文言は有益と述べており、低金利継続のメッセージ性について肯定的な見方を示していた。また、キング英中銀総裁は、現状では強い刺激策が必要、との認識を示した。株式の持ち直しとともに、ユーロドルは1.37台乗せ、ユーロ円105円台半ばなどロンドンでの下げを消す動きとなった。
さらに、ムードを好転させたのが英紙ガーディアンの報道。EFSF2兆ユーロに拡大用意、仏独合意、とのニュースに株が急伸、ダウ平均は一時250ドル高となり年初来の下げを消す動きをみせた。ユーロドルは一時1.38台乗せ、ユーロ円も106円台乗せへと一段高になった。その後はドイツ報道官がコメントを差し控える、と発表したことで急速なユーロ買いは落ち着いている。その他の主要通貨もユーロと同様にリスク選好ムードで買われたが、ドル円は76円台後半での振幅に留まっている。取引中盤に、日経が政府・日銀が円高監視のための共同チームをつくる、と報じたことで20ポイント程度買われる場面があったが、77円台乗せには至らなかった。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)