大統領選候補者にプーチン氏、ロシア与党

ウラジーミル・プーチン首相〔AFPBB News

 既報の通り、9月24日の与党「統一ロシア」の党大会において、ウラジーミル・プーチン首相の大統領選出馬とプーチン氏が大統領になった場合の、ドミトリー・メドベージェフ現大統領の首相就任が決まった。

 これは、来年5月から最長12年間続くであろうプーチン大統領時代の幕開けを意味するもので、この事実が今後の日露関係、もっと具体的に言うなら、我が国の対ロシアビジネスにどのような影響をもたらすことになるのか、筆者の観察と予想をご報告したいと思う。

 第3期プーチン大統領下の日露関係を考えるヒントが、既に今年に入り、具体的な形を取って現れている。 

(1)プーチンの中国訪問とエネルギー価格交渉

 プーチン首相は10月11日、12日の両日北京を訪問、中国向けロシア産天然ガス供給問題と原油輸出価格を決める交渉に臨んだ。

 特に天然ガスについては、交渉テーブルに上がっている契約数量は30年間にわたる年間700億立方メートルという途方もない量の供給であり、これは昨年、ロシアがヨーロッパ全域にパイプライン経由販売した量の半分に当たる。

 この大型交渉にプーチン首相が象徴的にしろ参加せざるを得ない理由は、欧州経済の落ち込みとユーロの混乱から、ロシアは「ルックイースト」、すなわちアジアへの傾斜を強めざるを得ないからである。

(2)プーチン首相の野田首相への唐突な電話

 プーチン首相は中国から帰国直後の10月14日、日本の野田佳彦首相と電話会談を行った。この電話会談はロシア側の依頼により実施されたとどこの新聞にも書かれているし、またロシア側情報でも大分以前から予定されていたという話もある。

 ただ、私には極めて唐突な感じがする。 10月13日、上記(1)の中国での交渉から、プーチン首相は中国の値下げ要求に答えることなく、帰国した。その翌日、彼は野田首相に対して、エネルギー分野での日本との関係強化を今さらのように持ちかけている。

 野田首相就任への祝意表明の電話を借りて、突然日本カードの内容強化を思いついたというのが、真相なのではなかろうか。