洋服やバックと、いまや珍しくなくなってきたエコファッション。しかしエコな靴はあまりない。天然素材を使ったり靴底をリサイクルタイヤ製にして原料にこだわるとか、靴を買うと植樹できたり中古靴を再資源化しコンクリート材にするとか工夫はいろいろあるが、「これなら欲しい!」といった靴はまれだ。
そんな中、今春、ヨーロッパのエコファッション界に登場したエコスニーカーは「履き古した後に芽が出て花が咲く」という不思議さが関心を引いて大好評。すでに初期生産分がほぼ完売状態だ。
雨に濡れても溶けない
履き古したあとで土に埋めると花が咲くスニーカーは、オランダ・アムステルダムのOATシューズが開発した。
素材は100%エコ。生分解性プラスチック、麻、オーガニックコットン、コルクなどで、土に埋めるとすべて分解される。分解されると聞くと、すでに履いているときから壊れそうと思うかもしれないが、普通の靴と同じだ。雨に濡れても溶ける心配はない。
生分解性プラスチックは、トウモロコシやジャガイモなどの穀物でんぷんが材料で、土中の微生物により最終的に水と二酸化炭素に分解される。最近は、電気製品にも使われるようになっている。
同社スニーカーの生分解性プラスチック部分は、温度や湿度などが整った理想的な状態の土に埋められれば半年以内に分解するという。麻やオーガニックコットンは、普通の土でもこれより早く2カ月ほどで分解する。
花の種は薄い紙に包んで、スニーカーの底に埋め込んである。デイジー、ヒマワリ、スノードロップといった種だ。スニーカーの素材の分解に伴って芽が出る仕組みだ。