2010年の政局の焦点は、鳩山政権が参院選まで持つかどうかだ。献金偽装、景気、基地問題という「3つのK」をクリアできないと、首相・鳩山由紀夫は退陣を余儀なくされよう。

 とりわけ米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先を5月までに決めなければ、鳩山の政治責任が厳しく問われることになる。その場合、内閣支持率の下落に歯止めが掛からず、参院選前に民主党幹事長・小沢一郎が鳩山に見切りをつける可能性がある。それとも逆風を跳ね返して「3K」を乗り越え、支持率を維持しながら参院選に臨み、民主党の単独過半数獲得に成功するのか。鳩山はまさに正念場を迎える。(敬称略)

首相年頭会見、予算早期成立し「二番底」避ける

鳩山首相、年頭会見〔AFPBB News

 1月4日の仕事始め、鳩山は民主党本部で新年の挨拶を行った。「いよいよ今年が正念場の年。夏には参院選がございます。小沢幹事長の指導の下で民主党としても勝利を果たさなければならない」

 鳩山と小沢。何かと「溝がある」とささやかれる2人のツーショットに注目が集まっていた。緊張気味の鳩山に対し、小沢はにこやかに振る舞っていた。

 鳩山はこの後の記者会見で「原点、初心に帰って国民の皆さんと一緒に新しい政治をつくり上げたい。その正念場の1年だと覚悟を決めている」と述べた。まるで自らに言い聞かせるように、「正念場」を繰り返していた。鳩山の危機感と覚悟はそれなりに伝わってくる。

 だが、「優柔不断で何も決められない首相」というイメージが、鳩山には定着してしまった。これを払拭した上で指導力と決断力、そして実行力をきちんと示さなければ、政権交代に期待感を示してきた世論も愛想を尽かす。内閣支持率が下がる一方の展開となろう。

「3つのK」が格好の攻撃材料、勢いづく自民・公明

 自民党総裁の谷垣禎一は1月4日、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝した後、記者会見に臨んだ。「政治とカネについて、内閣総辞職、衆院解散によって信を問うところまで求めていかなければならない」と強調、改めて鳩山の偽装献金事件を徹底追及する構えを示した。

 公明党代表の山口那津男も同日の幹部会で「通常国会の大きなテーマは『3つのK』に集約される。現政権の政策や政権運営に厳しく対応する」と述べ、献金偽装、景気、基地問題の「3K」を挙げて対決姿勢を鮮明にした。

 鳩山の資金管理団体をめぐる偽装献金事件は、野党側にとって格好の攻撃材料となった。鳩山は会見で「国会で議論があれば、自分なりに丁寧に答えたい。使い道も、私がどこまで把握できるかということはあるが、それなりの説明はしたい」と答えていたが、国会で説明責任を十分果たせるとは思えない。

 当然、鳩山は事件に関与しなかったと強調し、実母からの巨額の資金提供も知らぬ存ぜぬと言い張るのは間違いない。いくら鳩山が6億円近くの贈与税を払ったからといって、「脱税」の疑いは免れない。だが、起訴されなかった鳩山を偽装献金事件でいくら叩いても、野党が解散まで追い込むのは困難だろう。