この記事は2009年11月9日に公開されたものです

 米国労働省(Bureau of Labor Statistics)が、「年内にも労働者人口の過半数が女性になる」という予測を発表した。予測通りならば、もちろん米国史上初めての出来事となる。

 女性の人数が増えるだけではない。世論調査によると、女性の4割が自分を一家の稼ぎ頭だと回答し、また、男性の9割が「妻(またはパートナー)の収入が自分より多くても気にならない」と答えている。

 この世論調査は、労働者人口の過半数が女性になるという発表を受け、ロックフェラー財団とタイム誌が共同で行ったものだ。

 男性の6割と女性の5割が、「職場において女性が昇進することに対する障害がなくなった」と答えている。「社会では男性の方が依然として有利だ」と感じる女性は2割で、男性は1割。女性の7割が、「1世代前よりも女性が経済的に自立した」と考えている。

 たった40年前には、最高裁判事、閣僚、知事、FBI捜査官、アイビーリーグ大学の学長という役職に女性は1人もいなかった。弁護士や医師は、ほとんど男性だった。米国社会における女性の地位向上は確かに目覚ましいものがある。

 しかし、この世論調査は、もう1つの現象を明らかにした。女性が「以前よりも幸せでない」と感じていることである。日常的にストレスを感じる女性が、なんと全体の8割にも上っている。

自己実現の呪縛に苦しむ米国人女性

 米国人女性に不幸感が強いというのは、筆者もふだんから強く感じることである。

 米国人女性に「幸せか?」「今の自分に満足しているか?」という質問をすると、ほとんど必ず「はい」という答えが返ってくる。しかし、これは本音ではない。そう答えなくてはいけない空気がこの国にはあるのだ。

 万が一「不幸です」「自分のここが嫌です」とでも答えれば、その次には「では、その問題を解決するためにどんな対策を取っていますか」という質問が控えている。