その理由として彼らが挙げるのは次のような点だ。
現時点ではそれほど大きな問題との認識は少ないが・・・
(1)「年上を敬う儒教思想がある」ということ
(2)「生まれ育った20~30年間は変化の大きな時代だと若者自体が認識しているため結果的に不遇だとしても上の世代に問題があるわけではなく『仕方がない』と割り切っている」ということ
(3)「日本のように年配に富が集中しているわけではない」ということ
役所や単位を定年退職した人々は、退職後、初任給よりもずっと高い年金をもらい続けている。しかし超格差社会の中国で、初任給は生活すらままならない額なので、年金の額はもらい過ぎではなく年齢相応と若者にも思われている。
文化大革命終焉後に一人っ子政策の中で産まれた中国のこの世代は、前の世代よりも勉強が自由にできる環境で育ち、インターネットに触れ始めた最初の世代でもある。中にはほんの一握りであるが、ネットベンチャーで成功した若者もいる。
ただし、日本ほど不満たらたらではないものの、中国のほとんどの子供は、彼らが小さい頃の大人の世界と、現在の大人の世界のギャップに不公平感は感じている。経済全体が右肩上がりなので、そうした不公平感が強い不満には至っていないのだろう。
実はこの問題自体は、数年前に登場していたにもかかわらず、昨年になってスポットを浴びていることが興味深く、今回紹介した。2008年のリーマン・ショックで、中国経済も大きな打撃を受けた。そうした経済の停滞期には、潜在的な問題が顕在化する。
昨年、それ以前とは比較にならないほど中国のニュース系サイトで掲載され、世代間の不公平感が表立って紹介されるようになったことは、中国が将来抱えるであろう大きな問題の前兆と言えなくもない。
世代間の不公平の内容こそ異なれ、日中両国の若者はどちらもその不公平感をブログなどの個人メディアで不特定多数に、チャットソフトで人づてに吐き出しているように思える。特に中国のインターネットは、まだまだ若者だけのものだけに、インターネットでの論調がどうなるかが興味深いところ。
内陸と沿岸部の格差を解消すべく西部大開発を行った中国政府は、2010年、増えつつある世代間格差にどう対処するのだろうか、こちらもその手腕が問われる。