12月15~16日に開催された2009年最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、フェデラルファンド翌日物金利誘導レンジを年0~0.25%で据え置くとともに、超低金利政策の時間軸である「より長い期間(for an extended period)」という声明文の表現にも、変更を加えなかった。前回11月4日声明文で新たに示された3条件、(1)「資源利用率の低さ(low rates of resource utilization)」、(2)「抑制されたインフレ率のトレンド(subdued inflation trends)」、(3)「安定したインフレ期待(stable inflation expectations)」にも、変更はまったくなかった。市場では米11月の生産者物価指数が予想比で上振れたことなどからインフレ懸念を材料視する向きが出てきているものの、早すぎる金融引き締めが失敗につながった大恐慌当時などの教訓もあって、FOMCのスタンスには揺らぎがない。
今回のFOMC声明文について、主な部分を前回と比較すると、以下のようになる。
【景気全体の認識】~上方修正
(前回11月4日声明文)
◇「9月FOMC以降に入手された情報は、経済活動が上向き続けていることを示唆している(Information received since the Federal Open Market Committee met in September suggests that economic activity has continued to pick up.)」
↓
(今回12月16日声明文)
◆「11月FOMC以降に入手された情報は、経済活動が上向き続けていること、および労働市場の悪化が弱まりつつあることを示唆している(Information received since the Federal Open Market Committee met in November suggests that economic activity has continued to pick up and that the deterioration in the labor market is abating.)」
【金融市場の認識】~上方修正
(前回11月4日声明文)
◇「金融市場の状況は総じて、前回会合から今回会合までの間、ほぼ変化がなかった(Conditions in financial markets were roughly unchanged, on balance, over the intermeeting period.)」
↓
(今回12月16日声明文)
◆「金融市場の状況は、経済成長をより支援するものになった(Financial market conditions have become more supportive of economic growth.)」
【物価の認識】~変更なし
(前回11月4日声明文)
◇「かなりの経済資源の需給の緩み(スラック)がコスト上昇圧力を打ち消す可能性が高いこと、および長期的なインフレ期待が安定していることからみて、インフレ率はしばらくの間沈静した状態が続くものと、FOMCは予想している(With substantial resource slack likely to continue to dampen cost pressures and with longer-term inflation expectations stable, the Committee expects that inflation will remain subdued for some time.)」
↓
(今回12月16日声明文)
◆(同上)