沖縄県の米軍普天間飛行場の移設をめぐり、日米同盟関係が揺らぎ始めている。「対等な日米関係」を掲げる首相・鳩山由紀夫の姿勢が「米国離れ」と見られ、米側の不信を買っていることが問題の根底にある。こうした中で、「(韓国の)盧武鉉(前)政権と似ている」(2009年11月8日付日本経済新聞)という論点に注目したい。(敬称略)

 保守系政治家「名門」の鳩山と、進歩系で「親北反米」の性格が濃厚だった盧(故人)の出自や経歴はまるで異なる。そんな2人の「相似説」を考える際、ポイントになるのは政治家――特に国の舵取りを担う指導者――としての「ひ弱さ」だと指摘したい。

普天間問題の早期解決で一致、日米首脳が会見

長い長い鳩山首相の冒頭発言〔AFPBB News

 2009年11月13日、日米首脳会談を終えた鳩山と米大統領オバマの共同記者会見をテレビで観た。内容はともかく記憶に残っているのは、鳩山の冒頭発言がやけに長かったことしかない。

 鳩山の気持ちが昂ぶるのは分かるが、訪日した外国首脳の「ナマの声」を聞きたいのだから、いい加減にやめてくれ――。それが筆者の正直な感想だった。10月26日の所信表明演説も、分量にして過去最大の約1万2900字。自分の思想や信条を丁寧に話すのが、鳩山の政治手法なのだろう。

2004年の日韓首脳会見、盧の長広舌に慌てた報道各社

韓国大統領、人質の即時解放を要求

韓国の盧前大統領、記者会見で「長広舌」(参考写真)〔AFPBB News

 そこでふと思い出したのが、盧政権時代の2004年7月21日。済州島に首相・小泉純一郎を迎えた日韓首脳会談のことだ。この時の共同会見も長かった。その原因は、盧が延々と発言を続けたことに尽きる。

 首脳会談後の記者会見は通常、両首脳の冒頭発言を受けて記者から質問という流れになる。ところがこの時は、NHKの中継は質問に至らないうちに放映時間が尽き、途中で切れてしまった。鳩山など足元にも及ばぬ盧の長広舌。東京でテレビを観ていた報道各社の政治部関係者は慌てたにちがいない。