20日のロンドン市場は、ユーロが堅調に推移している。東京早朝には米S&Pによるイタリア格下げを受けてユーロ売りが強まったが、ロンドン市場ではその動きを消している。ユーロドルは1.36近辺から1.37台乗せ、ユーロ円は104円台前半から105円近辺まで買われた。欧州株は寄り付きに下げて始まったが、次第に買いが優勢となり上げへと転じている。

ユーロ買いの背景には、ギリシャなど欧州債務問題の解決に向けての期待感もあったようだ。トリシェECB総裁は、ECBは固定金利で無制限にユーロの流動性供給を実施している、とスペイン紙で語った。ベルルスコーニ伊首相は、S&Pの見解は現実よりもメディアの見方を反映しているようだ、として現実には財政赤字削減策が機能している面を強調した。また、ギリシャ政府は一部に報じられていたユーロ加盟継続の是非を問う国民投票検討とのニュースを否定している。ムーディーズは、イタリア格下げについてのコメントはない、としており早急な変更がないことを示唆している。また、本日もギリシャ当局とEU/IMF調査団との電話会談が実施される予定で、市場では支援実施が近いのでは、との期待感も醸成されつつあるようだ。

その他の通貨は欧州株高の影響で底堅く推移している。ポンドドルは振幅を伴いながらも1.57台を回復、ポンド円も120円台乗せ。豪ドル円は78円台後半、豪ドル/ドルは一時1.03近辺に上昇と堅調に推移している。ドル円は76.40レベルまで下押しされる場面もあったが、76円台半ばでの落ち着いた動きになっている。リスク回避的な動きはいったん後退。全般にあすのFOMCを控えて模様眺め気分も感じられた。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)