肉・魚・野菜のバランスがよく、低カロリー。あっさりとした味付けで、美しい盛り付け。健康イメージの強い和食は、世界の都市で人気上昇中だ。しかし、台湾ほど和食文化が定着しているところは世界でも例がないだろう。
日本が台湾を統治した1895~1945年の50年間に定着した和食文化は、日本が台湾を放棄して半世紀以上を経た今も脈々と生き続けている。台湾の人々は刺身や寿司を日常的に食べ、統治時代に日本人が伝授したおでんは、「おれん(漢字表記は黒輪)」や「関東煮」として親しまれ、夜市(ナイトマーケット)の屋台の定番の一つ。冬になると、台湾セブンイレブンでも、「関東煮」の店頭売りが始まる。
日本のスーパーですっかりお馴染みとなっている台湾産のウナギ蒲焼は、もちろん、日本のものと遜色のない美味しさ。台湾人も大好きだ。
台湾の外食産業における日本ブランドは、歴史的背景や台湾人の日本贔屓も手伝って、一大勢力を誇る。日本という名を付しただけで高級イメージを演出できるため、街には和食でもないのに「日式(日本式)」という枕詞を看板に掲げる店があふれ返っている。「なんちゃって系」から本格的なものまで幅は広いが、和食は台湾の外食産業における王様と言っても過言でない。
お寿司屋さんはセレブ御用達
立法委員(国会議員)と美女の不倫現場を激写――。某週刊誌が特ダネとして掲載した写真記事をきっかけに、台湾では11月の新聞やテレビはこの話題で連日もちきりとなった。
舞台となったのは、台北随一のセレブ御用達の高級和食店「同寿司(とんすし)」。外資系企業や百貨店などが集まる台北で最もおしゃれな街・信義区にある台湾人経営の人気店だ。店内はすべてテーブル席で、モダンなインテリアや食器類が高級感を醸し出している。2~20人用の個室が計7部屋あり、馬英九総統の側近とされる同立法委員は美女との密会にこのうちの1室を利用したという。