15日のNY市場はユーロの買戻しが加速した。この日発表になった雇用指標や景況感指標は弱い内容となったものの反応は限定的。それ以上に、きょうの市場は欧州債務危機への懸念が一服しており、リスク回避の雰囲気が後退している。
ECBがFRBを始めとした各国中銀と協調で3ヵ月物でのドル資金供給を発表したことが好材料視された。今月15日と10月12日、11月9日、12月7日にそれぞれ固定金利、無制限の供給を実施し、欧州銀を始めとした、年末年始にかけての銀行の資金繰りを支援する。
ギリシャ問題に端を発する欧州債務危機から、欧州銀の資本毀損が警戒され、インターバックでのドル資金調達コストが上昇していた。ドルのロンドン銀行間貸出金利(LIBOR)3ヵ月物は、このところ一本調子の上昇を続け、短期金利でのドルとユーロの金利差が縮小していたことも、ユーロドルの圧迫要因となっていた。
ユーロドルは一時1.39台に上昇。1.39台は抵抗感もあり伸び悩む動きも見られたが、底堅さは維持、10日線付近まで戻している。ちょうど8/29-9/12の下降波のフィボナッチ38.2%戻しの水準もこの付近にあり、リバウンドの最初の難関に差し掛かった。この水準を突破できれば、次は1.40台前半が上値目標。
◆ドル円、レートチェックの噂も元に戻す
NY時間に入って日銀のレートチェックの噂が広まり、ドル円は一時一時77円台に上昇する場面もあった。ただ、ユーロ買戻しからの相対的なドル売りで、直ぐに76円台半ばに戻している。軟調な展開ではあるが、ここ数日、強固なサポートとして意識されている76.50水準は維持。レベル感に変化はない。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)