スウェーデンのお爺ちゃんやお婆ちゃんは、皆さん元気で活動的だ。「もう年だから・・・」なんて決して口にしないし、そもそも年齢を気にしていない。だから、周囲も年寄り扱いしない。

スウェーデンのボロース(Boras)

 定年は65歳だが、早期退職する人も多い。リタイアした途端、旅行に出かけたり、地元のコーラスグループに入って歌ったり・・・。あるいは乗馬、ダンス、スキー、水泳、釣り・・・。成人学校で勉強を再開し、絵や楽器を習う高齢者は少なくない。

 日常生活ではしょっちゅう近隣の友人と会い、電話でおしゃべり。家族、とりわけ孫との関係が一層親密になる。知り合いのお婆ちゃんは「退職したら時間が無限にあり、やりたかったことが何でもできると思っていたけど、やっぱり時間は有限だったわね」――。それぐらいスケジュールが詰まっていて、お年寄りはあちこち飛び回っているように見える。

 退職後間もない66~67歳の214人を対象にストックホルム大学心理学部が実施した調査によると、「何をしているか」との問いに対して「スポーツなどの身体運動」という回答が51%を占めた。また、3人に1人が新しいクラブやサークルに所属し、4人に1人が定期的に友人や同僚に会い、5人に1人がボランティア・チャリティー活動に従事している。

 退職後の生活に対して「非常に満足している」「かなり満足している」が全体の78%に達する一方で、「満足していない」は2%に過ぎない。退職後の生活はどういうものかという質問には、「自由」が84%、「これまでの人生への満足感」が77%。「年金生活はどうか」では、「非常に良い」と「かなり良い」が合わせて85%に上るが、「かなり悪い」「非常に悪い」は3%しかない。

 総じてスウェーデンの退職者は自由と快適さを得て、人生を大いに楽しんでいるようだ。退職後の生活とは、長年の勤労により納めてきた税金・保険料が年金として還元されながら、「やりたかったことが思いきりできる時代」の到来なのだ。

日本との最大の違い、「福祉」ではなく「社会サービス」

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スウェーデンのラインフェルト首相(参考写真)〔AFPBB News

 もちろん、年齢を重ねるにつれて健康状態は悪化する。その場合でも、公共の輸送機関を利用できない人にはタクシー送迎サービスが用意されている。このほかケア職員の自宅訪問制度や、緊急時に非常ベルで助けを求められるサービスなどもある。建物を新築する際には、車椅子用のスロープなどの設置が義務付けられている。

 こうした政策のおかげで、65歳以上の年金生活者の94%は普通のアパートや自宅、つまりそれまでと全く変わらない生活を続けている。80歳を超えた人でも高齢者用住宅に住む人は16%に過ぎない。

 「自分たちは社会の厄介者」なんてスウェーデンのお年寄りは決して思わない。逆に、「自分たちは何十年間もしっかり働き、それなりの対価を社会に支払ってきた」「この社会は自分たちが構築してきたのだ」という意識が強い。だからこそ高齢者は卑屈にならず、社会への参画意欲が衰えない。