不況のなか米クリスマス商戦スタート、殺到する客で事故も

山のようなプレゼントを買うのがアメリカ流〔AFPBB News〕

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 しかし、スタートダッシュは長続きしなかった。客の波に溺れることができたのはセールの序盤だけで、その後は息切れ。米調査会社デロイトの集計によれば、2008年11月~2009年1月期の小売売上高(自動車やガソリン販売を除く)は前年同期比2.4%減と、1967年以来41年ぶりにマイナスに転じた。

 クリスマスに山のようなプレゼントを買い込む米国民の習慣から容易に推測できるように、米国のGDP(国内総生産)の約7割は個人消費が占める。そんな「消費大国」の小売業界が、書き入れ時の歳末商戦を減収で終わればどうなるか――。2009年に入ってからも続く業績の低迷ぶりが答えだ。

 あれから1年。米株価は2009年3月の底値から急回復し、「巨大金融機関がいつ潰れるか分からない」という不気味さは消え去った。米調査機関コンファレンス・ボードが毎月発表している消費者景気信頼感指数(1985年=100)は、50前後を推移していて依然さえないが、2月に記録した過去最低の25.3に比べれば大幅に改善した。

カネは使うが高い倹約意識

 このため、米小売調査会社ショッパートラックは2009年11~12月期の小売売上高(主に百貨店で売られる贈答用の商品が対象)が前年同期比1.6%増になると予想している。デロイトの調査でも、年末に掛けての支出は1人当たり同16.0%増の1145ドル(約10万円)に増える見込みだ。

 ただ、最悪だった2008年よりも回復するだけで、その前年の2007年比では20%も少ない水準だ。「ギフト」に限定した支出額は1人当たり452ドル(約3万9800円)で、2008年調査の532ドル(約4万6800円)を15%下回り、2004年比では29%も落ち込む見通し。

米クリスマス商戦不振、アマゾンのネット販売は過去最高

倹約志向が強まっている?〔AFPBB News

 年末の売り上げ増を予測するショッパートラックでさえ、独自に算出している「小売店来客指数」が11~12月期は前年同期比4.2%低下するとみている。デパートや、ショッピングモールに足を運ぶ消費者が減るというのだ。

 全米小売業協会(NRF)の推計では、今月27日のセール開始から週末にかけての3日間に「買い物に行く人」は前年より約5%多い1億3400万人。しかし、過半数に当たる7700万人は「セールの内容を吟味してから出掛ける」と回答しており、「去年よりカネは使うが無駄遣いはしない」という消費者の強い意思が伝わってくる。