日銀の中村清次審議委員は13日、愛媛県松山市で開催された金融経済懇談会に出席し、挨拶(講演)を行った。日銀公表の要旨から抽出した主な発言は、以下の通り。
【10月末利下げの背景】~ 経済金融情勢の「大きな変化」を受けて「当面の政策として」利下げ決定
「金融環境をより緩和的なものとし、経済活動をさらに支援することが必要との判断から、11月の金融政策決定会合までの当面の金融政策として、政策金利を0.2%引き下げ、『無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.3%前後で推移するよう促す』ことを決定しました」
「これから、年末や年度末に向けて市場の安定を確保するために積極的な資金供給を行い、政策金利である無担保コールレートに強い低下圧力がかかることが考えられますが、そうした場合でも、補完当座預金制度に適用される利率(0.1%)が、コールレートの下限となることで、レートの過度の低下を抑制し、適切に誘導できるようにするために、臨時の措置として導入したものです」
「こうした決定の背景には、10月6、7日の会合以降に公表されたデータ等から読み取られる経済・物価情勢に大きな変化があったことが挙げられます」
「実体経済面では、世界的な金融危機が、実体経済との負の相乗作用により世界経済を減速させ、ひいてはわが国経済が長期的な調整局面入りする瀬戸際にあるとも考えられるなど、景気の下振れリスクが一段と高まっています」
「わが国の企業金融面においても、投資家が運用に対して極めて慎重になっていることから、CPを含め資本市場からの調達環境が悪化し、銀行借入への依存度が高まっています。同時に、先行きの景気や業績に対する危惧もあって、金融機関の融資姿勢は慎重化しており、これまでの緩和的な金融環境に変化が窺われます」