31日のNY市場、円相場は乱高下する場面が見られた。序盤はこの日発表になったシカゴPMIが予想を上回ったことで、米株上昇と伴に円安の動きが強まった。センチメント系指標の悪化が相次ぐ中で、シカゴPMIが予想を上回ったことはポジティブサプライズ。自動車産業の景況感を色濃く反映する指標だが、東日本大震災の影響も一段落していることも伺わせる内容。ドル円も76円台後半に上昇し、77円台を伺う動きも見られたが、突如急速に売りが強まった。特に材料は無かったが、月末のロンドンフィキシングに絡んだ実需売りがまとまって入ったことも予想される動き。ただ、76円台半ばの水準は維持しており、今のところは、ここ数日のレンジ下限は維持している。
◆ユーロが弱い動き ギリシャ当局がユーロ離脱準備の噂も
軟調だったのがユーロで、ユーロドルは終始軟調な展開が続き、1.43半ばまで値を落とした。タカ派色が弱まるとの見方も強いECB理事会を控えていることや、ギリシャ問題も不透明感が根強い。ギリシャ財務相のリセッションならギリシャ国債に影響との発言やギリシャ議会予算監査当局がギリシャの債務力学は制御不能で、ギリシャの債務の対GDP比率は2012年に安定する公算は低いと指摘し、中期財政計画にも疑念を示していた。議会予算監査当局は専門家集団で構成され、政府とは独立した存在。
また、ギリシャ当局がユーロ離脱の準備のために米法律事務所を起用したとの噂も出ている。これについてはギリシャ財務省は否定。
ユーロ円も一時109円台に下落する場面が見られている。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)