30日のロンドン市場は全般的にドル高が進む展開となった。フィンランドがギリシャと合意した担保問題は根を引いており、ユーロやポンドがドルに対して売られたことが背景。ユーロドルは東京市場では1.45台前半で推移していたが1.44割れまで下落し、ポンドドルは1.63台後半から1.62台後半に値を落としている。ドル円は東京市場午後に76.60台まで下落していたが76.80台までじりじり戻した。また、昨晩は大きく上昇した米株だが、電子取引の米株価指数先物が軟調に推移していることはリスク回避色を誘った。
欧州首脳は、2国間の担保合意を受け入れる方向に傾けば各国の反発を呼びギリシャ救済策を危険にさらし、拒否すればフィンランド政権が傾く可能性もあり、ジレンマに陥っているという。昨日、ユンケル・ユーログループ議長は、このような2国間合意は好ましくないと批判している。

また本日は、ECBが今月初にイタリア債の購入を実施すると発表してから初のイタリア債の入札があり、10年債の利回りは5.22%と2000年2月以来の高水準だった前回を下回ったものの直近の10年物国債利回りを上回っており、10年物国債利回りは上昇した(債券価格は下落)。為替相場への特段の反応は見られなかったが、その後、市場筋によるとECBはかなりの規模のイタリア10年債を購入したもよう。

◆スイスフランは上に往って来い
スイスフランは主要通貨に対して上に往って来いの展開となった。連休明けのロンドン勢は先週末から進んだフラン安を受け、買い戻しの動きが先行した。ただ、市場には明日にもスイス中銀がフラン高抑制策第2弾を発表するとの観測があり、フランは一転売りが入り、ドルと円に対しては本日の安値を更新しスイス円は5月25日以来の水準まで下落している。

Klugアナリスト 鈴木信秀