17日の東京市場は、やや円買いが優勢だった。ドル円は76.80台から76.65近辺へと水準を下げている。クロス円ではユーロ円が110.60近辺から110.15近辺まで軟化、つれてポンド円も126円台前半から125円台後半まで売られた。昨日の海外市場では独仏首脳会談に期待感が高まっていたが、市場が想定していたユーロ圏共通債への思惑は空振りとなり、ユーロ売りを誘う形となっていた。東京市場もその延長線上にあったようだ。16日のNY株式が軟調だったことを受けて日経平均も100円超の下落となる場面があったこともリスク回避の円買い圧力になった。お盆休暇明けで輸出企業の為替予約動向も注目されたが、目立った動きはみられなかった。クロス円は朝方の売りから次第に下げ渋る動きもみせた。ユーロ円は110円台半ばへと反発、ポンド円は126円台回復。日経平均は後場には下げ幅を縮小している。ただ、ドル円は引き続き76.65-70レベルで推移している。

また、早朝のNZ生産者物価や豪Westpac先行指数、豪賃金コスト指数などへの反応は少なかった。豪ドル円は80.50近辺から80円手前まで下げたあとは下げ一服となっている。また、きょうにも発表される見込みのスイス高対策が市場にとって注目の的だが、スイスフランは午後の取引で売りが強まった。ユーロスイスは1.15台半ば、ドルスイスは0.80台に乗せる場面があった。いずれも7月下旬以来のスイス安水準。

◆一部にドル安センチメントも、ユーロドル1.44近辺へ戻す
東京午前には1.4350台へと軟化したユーロドルだが、午後には1.44近辺へと再び上昇している。市場ではスイス高対策の発表への期待でユーロ買い・スイス売りの圧力がみられているようだ。また、一部には米FRBが追加緩和を検討するのではないか、との思惑もでてきているようだ。今月下旬に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティー連銀主催会合で、バーナンキFRB議長がQE3に言及するとの見方もでてきている。同議長のスピーチは8月26日に予定されている。もともと、先月末にPIMCOのグローズCIOの発言が発端となったようだが、ここにきて再び蒸し返されていることから、市場がドル安センチメントに傾斜しつつある可能性もある。今後、QE3との言葉が市場の話題に上ることが増えてくるかもしれない。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)