7日に日銀から発表された生活意識に関するアンケート調査の9月調査結果を見ると、物価に関連する設問への回答内容では、デフレスパイラルのリスクをある程度警戒せざるを得なくなっている日銀がとりあえず一息つくことのできそうな数字が、表面上は並んだ。
1年前と比べた現在の物価に対する実感では、「上がった」とする回答の合計がほぼ前回6月調査並みで、「下がった」とする回答の合計は小幅減少した。
1年後の物価に対する見方は、「上がる」とする回答の合計が増加して4割台半ばになり、「下がる」とする回答の合計は減少した。5年後の物価に対する見方についても、1年後と同様の結果だった。
具体的な数値による回答の内容を見ると、設問「1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか」への回答の中央値は+0.1%(前回調査では+1.0%)となった。
一方、設問「1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか」への回答の中央値は+0.1%(前回調査では0.0%)、設問「5年後の物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うか」への回答の中央値は+2.0%(前回調査でも+2.0%)となった。消費者が抱いている期待インフレ率には、6月調査時点からはほとんど変化がないという話になる。
なお、生活意識に関するアンケート調査は2006年3月調査まで訪問方式で実施され、同年9月調査以降は郵送方式で実施された。同年6月調査では、データ比較のため、並行実施された。また、2005年9月は調査が行われなかったため、図表上でブランクになっている。
上記のような、消費者の抱く物価についての実感、さらには期待インフレ率がここにきて急に下がっているわけではないという結果が出てきた背景には、ガソリン価格が9月に上昇したこと(石油情報センター調べで9月のレギュラーガソリン販売価格の全国平均は1リットル=129円で、前月の126円から上昇)、およびエルニーニョ現象も寄与したとみられる天候不順で生鮮野菜の価格が高めに推移したことがあると考えられる。内閣府の消費動向調査でもそうだが、この手のアンケートで示される消費者の物価認識は、特にガソリン価格の騰落で左右される度合いが以前から大きい。