米国株式相場では徐々にその消化が終わりつつあり、2009年10月下旬発表の米国7~9月期GDP速報値の発表辺りが当面のピークではないか。通貨高の影響で域外貿易に苦しむユーロ圏の企業も、好決算は期待できない。今後、先進国の株価に関しては、二番底をうかがうシナリオも覚悟する必要性が出てきそうだ。(本稿中の各種グラフも各種データに基づき筆者作成)
一方、各国の中央銀行は通貨、特にドル資金の流動性に神経を使っており、2008年のように決済懸念を背景として金融機関サイドでドルへの異常な需要が生まれる可能性は低い。言い換えれば、景気失速に伴う株価下落と企業信用問題が深刻化すると、それと同時にドル安が進行してしまう恐れがある。
こうした中、日本では鳩山新政権が「為替介入に消極的」という印象を国際金融市場に植え付けてしまった。3カ月物の銀行間取引の基準となるLIBOR金利を見ると、ドルと円の間でほとんど差がなくなってしまった。今や、キャリートレードにおける調達通貨でも、円はドルにその主役の座を奪われてしまい、日本の通貨政策を勘案すると円を積極的に売る理由は見当たらない。
米企業4~6月期決算は「ポジティブサプライズ」、だが7~9月期は?
米企業の2009年4~6月期決算は、実に7割近くが市場予想を上回る利益水準を記録。それが「ポジティブサプライズ」となり、株式市場は堅調に推移した。しかし売上高を見ると、予想に届いたのは半数にも満たない。すなわち、コスト低減など企業の経費削減の賜物であり、持続的成長には疑問符が付いた。売上高が伸びないままなら、縮小均衡にほかならない。
各国は財政出動により、不足する需要を穴埋めした。とりわけ自動車の買い替えに伴う補助金支給は大きな効果をもたらし、米国の新車販売も7月、8月は久しぶりに年率換算1000万台を回復した。
米政府は住宅取得者にも税制優遇を行い、月次の新築住宅価格は上昇傾向に転じている。しかし、2009年11月末で初回住宅購入者の税控除措置の期限が切れる。一方、売れ筋の価格帯は20万ドル台に下がっており、政策効果が消えた後は心配だ。
実際、コンファレンスボードが発表した2009年9月の米消費者信頼感指数では、半年以内に住宅取得を計画している家計が8月の3%から2.3%へ低下した。住宅需要が先食いされてしまった可能性は否定できない。