新政権16日に発足、主な入閣内定者の顔ぶれ

連立の代償がこれから重くのしかかる〔AFPBB News

民主党は「白川日銀」の生みの親だが、金融政策運営にとっては、実にはた迷惑な組閣人事を敢行した。債務返済猶予(モラトリアム)論者の亀井静香・国民新党代表を郵政・金融相に就けたのだ。

 モラトリアムは市場機能を抹殺し、金融界は戒厳令下となる。市場機能の回復を目指す日銀の出口政策もその「出口」を塞がれ、金融政策も何も決められないモラトリアムに陥る。金融界と金融政策の自由解放のため、白川日銀は亀井戒厳令を阻止しなければならない。

予想外だった亀井・金融担当相

 民主党との連立で亀井代表の閣僚入りは確実視されていたが、郵政・金融相就任は日銀および市場関係者には全くの予想外だった。組閣前日の15日、モラトリアムという劇薬的な借り手救済を訴える亀井氏が金融行政を担うことが伝えられた瞬間、市場関係者らは「本当なのか」と絶句。日銀内でも「まさか」というどよめきの声が上がった。

 就任会見で亀井氏は次のように吠えた。

「私が専任大臣だ」

 「弱肉強食の市場原理でガタガタになった日本経済を全力で立て直す。日本経済は血液が全身に回っていない。特に(中小零細企業という)毛細血管に回っていない。中小零細は貸し剥がしで黒字倒産が起きている。3年ぐらいは返済を猶予する。早速検討して速やかに実施したい。金融機関は反省が必要だ。中小零細企業に対してきちっとした融資をやっているのか。金融機関は社会的使命を考えるべきだ。もはや政府が(金融機関との交渉を)やらないといけない」

 藤井裕久財務相などは返済猶予に疑問を呈しているが、亀井金融相は「私が専任大臣だ。閣議決定できる法案を出す」と強硬姿勢を崩していない。

 返済猶予は中小零細向けの企業金融対策として特効薬と思われがちだが、副作用も大きい。