1日に発表された米8月のISM製造業景況指数は、52.9(前月比+4.0ポイント)になった。

 好不況の分岐点である50を超えたのは19カ月ぶりのこと。すなわち、米国経済がリセッション入りした翌月にあたる2008年1月(50.8)以来のことである。上昇は8カ月連続。また、52.9という水準は2007年6月(52.9)以来の高さである。18業種のうち11業種が、8月は前月から上向いたと報告した。

 発表資料によると、この指数が41.2をしばらくの間超えていれば、米国経済が全体としてプラス成長を遂げていることが示唆される。さらに、指数が今回50を超えたことで、米国経済のうち製造業についても拡大していることが示された。

 また、8月の水準52.9は、過去の連動性からみて、米国の実質GDPが年率で+3.7%成長していることに対応するという。

 総合(PMI)の算出に用いられる5つの内訳指数(季節調整済)を見ると、先行性ゆえに注目度が高い「新規受注」が64.9に急上昇したことが、最も目立つ(前月比+9.6ポイント)。2004年12月以来の高水準である。政府が実施した短期的な需要喚起策を受けて自動車販売が急増したことが、関連の素材業種を含めた受注急増に結び付いたようである。

 このほかの4つでは、「生産」が61.9(同+4.0ポイント)で、2005年10月以来の高水準。雇用統計の製造業雇用者数を予想する上で参考になる「雇用」は46.4(同+0.8ポイント)で、改善の動きが鈍く、50割れ水準をキープ。景気先行指数に採用されている「入荷遅延」は57.1 (同+5.1ポイント)。在庫調整が進むと水準が下がる「在庫」は34.4(同+0.9ポイント)で、2カ月連続の上昇となった。

 総合の算出に用いられないその他の指数の中では、在庫の過剰感の度合いを示す「顧客の在庫」(原数値)が39.0(前月比▲3.5ポイント)になった。


しかし、ISM製造業景況指数や鉱工業生産といった生産関連指標の上昇は、筆者のみるところ、「賞味期限付き」である。