中国経済にバブルが再発しつつある。景気刺激策であるべき巨額財政支出のかなりの部分が、投資ではなく、投機に流れている。人民銀行は資産バブルとインフレの可能性を懸念し、金融政策の「微調整」を模索した。
しかし、国家発展改革委員会(発改委)は「今マクロ政策は変更すべきでない」として、この人民銀行の提案をねじ伏せたと言われる。
スーパー官庁
一体、この発改委とはいかなる組織なのか。
発改委は、経済・社会政策の研究、経済のマクロ調整などを行う国務院の一部局であり、その前身は国家計画委員会である。現在の主任は張平。1946年安徽省生まれ、幹部としては異例の中等専業学校卒、たたき上げの苦労人と言われている。
張主任の下に現在25の部局が存在し、具体的に以下の通りである。
(1)政策研究室、(2)発展計画司(「司」は日本の「局」に相当)、(3)国民経済総合司、
(4)経済運行司、(5)経済体制総合改革司、(6)固定資産投資司、(7)産業政策司、
(8)国外資金利用司、(9)地域経済司、(10)農村経済司、(11)エネルギー局、
(12)交通運輸司、(13)工業司、(14)ハイテク産業司、(15)中・小企業司、
(16)環境・資源総合利用司、(17)社会発展司、(18)経済貿易司、(19)財政金融司、
(20)価格司、(21)価格監督検査司、(22)就業・収入配分司、(23)法規司、
(24)外務司、(25)人事司だ。
このように発改委は、外交・軍事、司法・警察、保健・医療、文化等を除くほとんどすべての経済活動を監督し得る権限を持っている。発改委が「スーパー官庁」と呼ばれるようになったゆえんである。
究極の「政治主導」システム
「なるほど、やはり国家発展改革委員会が『中国株式会社』の実質的な司令塔だな」などと結論を急がないでほしい。中国における経済政策の基本方針は決して発改委などでは決まらないからだ。
中国の経済政策は毎年開かれる「中央経済工作会議」、特に党総書記を筆頭とする政治局常務委員によって決定されている。一昔前の「日本株式会社」のように、特定の経済官庁や非党員の高級官僚が、政党組織とは別に、実質的政策の立案・決定を行うことなど中国ではあり得ないのだ。