21日の東京市場は、ユーロ買いが主導した。早朝に、独仏首脳会談でギリシャ支援について共通の立場を確認した、との一報が伝わると、ユーロ買いが強まった。ユーロドルは一時1.4275レベル、ユーロ円は112.54レベルまで上昇した。具体的な支援内容は伝わらなかったが、きょうブリュッセルで開催される欧州首脳会議でのギリシャ支援発表への期待感が高まった形。この動きにつれて豪ドルなど資源国通貨も強含んだ。豪ドル円は一時85円近辺へと買われた。ただ、その後は動きが一服している。昼前に発表された7月HSBC中国製造業PMIが48.9と昨年7月以来の50割れ、28ヶ月ぶり低水準になったことで豪ドル売りの反応がみられた。豪ドル円は84.25レベル、豪ドル/ドルは1.0705レベルときょうの安値を付けている。PMIの押し下げ要因としては投入価格指数の上昇が指摘されている。中国にとってインフレが景況感のネックとなっているようだ。人民元はきょうも高値を更新しており、人民銀は元高を容認する姿勢だった。一方、ユーロ相場は午後にかけても底堅く推移。支援策発表への期待感のほどが伺われる。ユーロドルは1.42台半ば、ユーロ円は一時112円台後半で取引されている。

◆貿易収支は3ヶ月ぶりに黒字転換
日本の6月通関統計では貿易収支が3ヶ月ぶりに黒字に転換した。市場では東日本大震災によるサプライチャーン問題などの回復が予想より進んでいるとの評価が多かった。ただ、為替市場での反応はほとんどみられなかった。日経平均は前日終値周辺での揉み合い。ドル円は仲値通過後は売りが先行し、昼過ぎには78.62レベルまで軟化した。ドル円にとっては、ユーロドル上昇がドル安圧力に、豪ドル円下落が円高圧力に、と上値を重くする状況が揃っていた。午後にはポンド円などクロス円の上昇を伴って一時79円台に乗せる場面もあったが、すぐに78円台後半へと戻している。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)