16日の東京市場は、午後に入って再びユーロが急落した。午前から昼過ぎまでのマーケットは前日の調整に終始。ユーロドルは1.41台後半から一時1.42台乗せ、ユーロ円は114円台後半での底堅い動きとなった。日経平均は序盤から100円超の下落となったが、やや下げ一服となると、ポンドやオセアニア通貨など全般にリスクに敏感な通貨は下げ渋った。ポンドドルは1.61台後半から一時1.62台を回復、ポンド円は131円台乗せ。豪ドル円は85円台後半、豪ドル/ドルは1.05台後半での揉み合いだった。

しかし、香港や上海株も軟調に始まったことで次第にリスク回避色も見え始めた。欧州勢の参入を意識する13時過ぎにユーロ売りが一気に強まった。ユーロドルは前日安値を下回ると1.41割れへと急落、ユーロ円も114.50割れから114円割れへと下値を広げた。その他の主要通貨でもドル買い・円買いが強まり、ポンドドルは1.61台半ば、ポンド円は131円台半ばへと再び売りが強まっている。豪ドル円は85円近辺、豪ドル/ドルは1.05手前へときょうの安値を更新。一方、ドル円は81円近辺での揉み合いが続き、その他通貨に対して強含んでいる。また、スイス買いの動きも強まり、ユーロスイスは一時1.20の大台を割り込んで史上最安値を更新した。日経平均は150円超の下落となるなど株式市場も一段安。ユーロ発のリスク回避の動きが広がった。

◆ギリシャへの不安が増幅
東京午後の時間帯にユーロが急落した。オランダ中銀総裁の記事が報じられていた。ウェリンク・オランダ中銀総裁はオランダ紙で、民間投資がギリシャへの追加支援への貢献で圧力を受けるなら、ユーロ圏の救済基金の規模を2倍増の1兆5000億ユーロとすべき、と述べた。ギリシャ支援の最終的な詰めをめぐって、ドイツとフランスとの対立が鮮明になっている。民間セクターのギリシャ債償還に対する自主的な措置が焦点となっている。また、パパンドレウ・ギリシャ首相が辞任することで大連立政権を打ちたてようとしたが野党からは拒否されている。内閣改造で切り抜ける方針に転換したが、ギリシャでは公務員の24時間ゼネストの実施など大荒れとなっている状況。本日は議会で内閣の信任投票が実施される見込み。本日は独連銀総裁、イタリア中銀総裁などECB高官と独首相、ルクセンブルグ首相など首脳との会談が予定されているが、不安を解消できるのか依然として不透明。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)