8日のNY市場はユーロの売りが優勢となった。ただ、ドルが買い戻されたわけでもなく、ポンドや資源国通貨は底堅い動きを見せている。ユーロについては、短期筋の利益確定売りを誘ったことが主だったように思われる。明日のECB理事会や、依然としてギリシャ問題が燻っていることが、ポジション調整に結びついたものと推測される。

ドイツは民間債権者の負担を伴う返済期限延長を主張しているのに対して、フランスはいかなる再編も反対する姿勢を示している。フランスはギリシャ国債の最大の保有国。ショイブレ独財務相はトリシェ総裁やEUのレーン委員(経済・通貨担当)、IMFに債務再編を求める書簡を送付し、ギリシャに対する追加的な財政支援とともに債務再編が必要だと述べている。そうしなければ、ギリシャはユーロ圏で初めての国家破綻となりかねないとした上で、民間債務者に対し7年の返済を待つよう期待しているとした。格付け会社は、債務再編はデフォルト(債務不履行)と指摘しており、まだまだ完全解決の道筋は見えてこない。また、ショイブレ独財務相はギリシャ支援には900億ユーロ必要との認識を示していた。

一方、ドルは米景気減速、債務上限引き上げ問題など信認が低下しており、軟調な動きが続いている。ドル円は80円を割り込み、一時79.70近辺まで下落した。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)